ママさんハードラーが日本新! 女子7人制ラグビーから今季約6年ぶりに陸上の女子100メートル障害に復帰した寺田明日香(29=パソナグループ)が1本目のレースで12秒97(追い風1・2メートル)を出した。19年ぶりの記録更新で、初の12秒台突入。
従来の記録は金沢イボンヌと自身が出した13秒00だった。1児の母は世界選手権(ドーハ)の参加標準記録(12秒98)もクリアし、2度目の代表切符を確実にした。
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「12秒97」の表示を確認した寺田は両腕を突き上げた。タイムを指さし、満面の笑み。勝者の証しである1本のピンクの花を受け取ると、スタンドの夫峻一さん(36)、長女果緒ちゃん(5)へ放り投げた。家族の喜ぶ姿に、また笑う。世界選手権の出場も確実にし「目指していた12秒98を0秒01でも超えられて、うれしい」。先月17日に13秒00の日本タイ記録を出した翌日、フェイスブックに1通のメッセージが届いた。記録に並んだ金沢さんから。「古い記録は早く抜いて」。見事に0秒03更新した。
08年から日本選手権3連覇も23歳で、1度は陸上を諦めた。ケガや貧血が重なり2年間思うように走れず電撃引退。14年3月に結婚し、同年8月には母に。16年から7人制ラグビーに転向。ただ、けがもあって代表入りが厳しくなり、昨年12月に陸上の道に戻った。「ラグビーはどうしたら止まれるか考える。止まる感覚を表現しなければ前に進む動きとなる」。体の使い方を熟考した過去は今に生きる。ラグビーと違い「ハードルは私に向かってこない」。障害への恐怖心も消えた。また以前より地面を捉える力が強くなったのはラグビー経験の副産物だ。
年齢と向き合い、練習は週4日。練習や仕事へ行く前は朝ご飯も作る。家族の支えに感謝した上で「出産前の体のギャップも認めないといけないが、そこを超えられたらママでも進化できる」。その口調は母として、アスリートとしての誇りに満ちた。【上田悠太】
寺田明日香(てらだ・あすか)1990年(平2)1月14日、札幌市生まれ。札幌平和通小4年から競技を始める。北海道・恵庭北高では高校総体を3連覇。09年世界選手権に出場するも予選落ち。13年に1度現役を引退。16年12月の日本ラグビー協会のトライアウトに合格し、17年1月から日本代表練習生として活動。18年12月にラグビー引退と陸上への復帰を表明し、今年の日本選手権は3位。

寺田明日香日本新 女子100mハードルで初の12秒台

陸上の国内のトップ選手による記録会が開かれ、女子100メートルハードルで29歳の寺田明日香選手が日本選手では初の12秒台となる12秒97の日本新記録をマークしました。
この記録会は今月カタールで開幕する世界選手権や来年の東京オリンピックで設定されている参加標準記録に挑戦する機会を増やそうと初めて開かれました。

会場となった山梨県富士吉田市の競技場は標高が高く追い風が吹きやすいのが特徴で、女子100メートルハードルに出場した寺田選手は、スタートから飛び出すと中盤以降もほかの選手を引き離し、追い風1.2メートルの好条件の中、12秒97の1着でフィニッシュしました。
これまでの日本記録は2000年に金沢イボンヌ選手がマークした13秒00で寺田選手は先月、この記録に並んでいましたが、この大会で0秒03更新し日本選手として初めて12秒台をマークしました。
寺田選手は世界選手権の参加標準記録を突破しました。

寺田 会心のレース「足が勝手に回っている感じ」

日本新記録をマークしたレースを振り返り寺田選手は「課題のスタートで、集中して思い切り出ることを心がけた。中盤もリラックスできて足が勝手に回っている感じだった」と話しました。

寺田選手は札幌市出身の29歳。18歳で、日本選手権を初めて制したあと3連覇しましたが、相次ぐケガで一度引退しました。その後は東京オリンピックを目指し、26歳で7人制ラグビーに転向したもののケガに悩まされ、ことし6年ぶりに陸上に復帰して東京大会を目指しています。

出産や7人制ラグビーへの転向などさまざまな経験を経た中で、記録を打ち立てたことについて「陸上とラグビー、自分の帰る場所が2つできて、応援してくれる人がすごく増えた。ラグビーを経験して周りのことが見えるようにもなった。出産後であっても以前の自分との体のギャップを認めて、そこから変えていければ、まだまだ進化できるということを表現できてうれしい」と笑顔を見せていました。

好記録続出 男子400mではジュリアン代表内定

記録会では、女子100メートルハードルのほかにも好記録が続出し今月27日に開幕する世界選手権に向け弾みをつけました。

男子110メートルハードルでは先月13秒25の日本新記録をマークした高山峻野選手が、追い風1.4メートルのなか13秒29と日本記録に迫る好タイムをマークして優勝し、好調さを印象づけました。

男子400メートルでは、ウォルシュ・ジュリアン選手が45秒21の自己ベストをマークして優勝しました。

ウォルシュ選手は6月の日本選手権で優勝していて、今回、世界選手権の参加標準記録を突破したため代表に内定しました。

また、男子100メートルでは、多田修平選手が追い風1メートルのなか10秒15で優勝し、ケンブリッジ飛鳥選手が10秒22で2着に入りました。男子200メートルは飯塚翔太選手が20秒29で優勝しました。